【書籍レビュー】『鴨川ホルモー』
おはようございます。
だんだん暑くなってきましたね・・・。どうも、はるみです。
いきなりですが皆さん、お好きな本のジャンルは何ですか?
ミステリー、ビジネス、学園ものなど、本には色々とジャンルがありますよね。
私は基本どんなジャンルの本でも読みます。ただ、自分で好きな本を選ぶとなるとなかなか手を付けないものがあるんですよね。
それがファンタジー。なんというか、世界観に入り込むのが苦手なんです。
ですがそんな私が、久々に面白い!紹介したい!と思う本に出会いました。
それがこちら。
万城目学さんの『鴨川ホルモー』です。それでは、2回目の書評です。
早速行ってみましょう。
【基本情報】
作者:万城目学
出版社:角川文庫
価格:514円+税
発行年月日:平成21年2月25日
京都大学法学部を卒業しています。エリートですね!
代表作に『鹿男あをによし』『プリンセス・トヨトミ』などがあります。
今回紹介する作品『鴨川ホルモー』は作者のデビュー作。
2006年に本書で第4回ボイルドエッグズ新人賞を受賞しました。
いったいどんな作品なのでしょうか。
【作品の概要】
【あらすじ】
京都大学1回生である主人公「安倍」は京都3大祭りのうちの一つ、葵祭で牛車を引くエキストラの仕事をしていた。
その帰り道、安倍は謎の男女からサークルの勧誘を受ける。
そのサークルの名は「京大青竜会」。
チラシのうさん臭さにあきれる安倍だが、吸い寄せられるようにこのサークルに浸るようになる。
なぜならそこの新歓コンパに衝撃的に美しい「鼻」を持つ美少女がいたから・・・!
次第に安倍やその仲間たちはサークルの本当の活動内容である、「ホルモー」の全貌を知ることになる。
不思議な「連中」、「連中」と共に行う「合戦」、「合戦」後の「雄たけび」、そしてなぜか「ちょんまげ」。
安倍は個性豊かな仲間たちと共に「ホルモー」に立ち向かう!!そしてその一方、安倍はあの「鼻」の美少女にぞっこんで・・・?
これだけ見るとわけわかんないと思います。
そうなんです。この作品、とっても説明するのが難しい作品なんです。
頑張って魅力を伝えようと思います。
【登場人物】
①安倍
本作の主人公。
2浪の末京都大学に入学した、さだまさしをこよなく愛する貧乏大学生。
女性の見た目でなぜか「鼻」だけを執拗に気にする。ホルモーに対するやる気は基本ない。
②高村
帰国子女。見た目のダサさが「イカキョー」(いかにも京大生)
かなり緊張しやすい性格のようだ。
③早良京子
美しい「鼻」を持つ美少女。安倍が一目ぼれをする。
④楠木ふみ
不愛想な女子。見た目が大木凡人に似ている。
安倍のことを嫌っているようだが・・・
⑤芦屋
京大青竜会メンバー。安倍とは馬が合わない。
⑥スガ氏
京都大学3回生。京大青竜会代表。安倍と高村を勧誘した張本人。
主な登場人物はこの6人です。他にも出てきますが、全員紹介すると大変なことになるので割愛します。
ちなみにここで紹介した6人は全員京都大学の学生。作者も含め、凄いエリート集団ですね。
それでは感想と特徴をまとめていきます。
【感想と特徴】
〈要素てんこ盛り小説!〉
この作品の凄いところはとにかくたくさんの要素が詰まっているところだと思います。
まず豊かなキャンパスライフ、あつい友情、ちょっぴり恋愛、そして作品を彩る京都の歴史、最後に怒涛のファンタジー。
そうなんです。あらすじからもわかるように、この作品の設定は超非現実的なんです。
まず本作のテーマである「ホルモー」が現実からかけ離れちゃってます。
合戦ですからね。人外の。
そんな設定を普段の大学生の日常にきれいに溶け込ませている作者の表現力には脱帽でした。
文体もファンタジー特有の小難しさがなく、とても読みやすいです。すっと世界に入り込むことができました。
〈個性的なキャラ、珍妙な青春小説〉
本書をさらに素敵なものにさせているのが「個性豊かな登場人物」です。
たくさんの人がこの物語に出てきますが、全員癖が強いんですよね。
中身も、見た目も。(ぜひ読んでみてほしいです。約一名やばい見た目の人がいます)
そして全員、ホルモーに対して散々批判しまくっている癖に全力なんです。
協力したり、時にはぶつかったりしながら、ホルモーに打ち込んでいる姿はとっても応援したくなります。部活に打ち込んでいる中学生や高校生を眺めている気分になりました。
そしてもう一つ注目してほしいのが主人公の成長。
この主人公、なかなか捻くれた性格をしています。
さらに三角関係や、苦手な人と付き合わないといけない微妙な状況など、様々な人間関係のドラマにも振り回されていきます。
そんな主人公が先輩や仲間たちと共に少しずつ「ホルモー」を通して成長していく姿がかっこよかったです。
ぱっとみ、ただのバトルもの?と思われがちですが、全然そんなことありません。
作品の裏には、あついアツい青春の物語が隠れています。
〈京都の風景と共に楽しむ〉
この作品の舞台はご存じの通り「京都」。
伏見稲荷大社、吉田神社など、出てくる場所はほとんどが実在した場所です。
出てくる大学も立命館大学など聞いたことがあるものが多いです。
さらに安倍晴明などゆかりのある言葉や人物の描写も出てきます。
このような場所や人物を調べて、写真を見ながら読むと、この作品をさらに楽しめるようになると思います。
表紙の次のページに地図の絵がついているので土地感覚も掴みやすいです。
言葉に関しては少し意味が分かりづらいものもあると思うので、辞書やスマホで調べてみるといいかもしれませんね。
さて、長くなってしまいました。まとめましょう。
【まとめ】
この作品は、次のような人にお勧めします。
・京都が好きな人!
・ファンタジーもの、学園ものが好きな人
・キャンパスライフが楽しみな大学生!!
・部活に打ち込んでいる学生
この作品の魅力を一言で表すとしたら「ファンタジーと青春の共存」。
ファンタジーをめったに読まない私が一気読みした奇跡の作品です。
私のような「非現実的な設定は苦手だわ・・・」という人にも是非読んでいただきたいです。見方が変わります。
そして青春真っ盛りの学生さんにも是非楽しんでいただきたいと思います。
退屈に思われる普段の学校生活が少しだけ楽しく見えるようになるかもしれませんよ。
これは私の勝手な感覚ですが、京都が舞台の作品ってどこか不思議な魅力があるように感じます。
私が今まで読んだ中で一番好きな小説、森見登美彦さんの『四畳半神話大系』も京都が舞台です。
京都マジックがあるんですかね・・・?この作品も私の中で相当なお気に入りになりました!!
皆様もぜひ手に取ってみてください。それでは。
【おまけ】
今回のお気に入りフレーズを置いておきます。
ぜひ探してみてください。
僕たちがこの長い学生生活でこれから戦い続けなければならないものは、間違いなく虚無だ。
いや、それは大学だけではなく、社会に出てからも、絶えず僕たちを苛むはずだ。