【読了】燃え殻『ボクたちはみんな大人になれなかった』
【注意】
これは私のツイッターでのつぶやきの延長線上で書いたものです。
内容は読了ツイートをただ拡大してだらだら話しているだけです。ご了承ください。
【燃え殻「ボクたちはみんな大人になれなかった」】
都内で会社員として働く「140文字の文学者」、燃え殻さんのデビュー小説です。
「エモい」という言葉はこのような作品にこそ使われるものなんだろうなぁ、と思うようなとても切なく、とても苦しく、とても人間味のある素敵な作品でした。
主人公は都内で働く43歳の「ボク」。物語はかつて「自分よりも好きになってしまった」女性からのFacebookの友達申請によってはじまります。そこから過去、現在を行き来して主人公に影響を与えた人、出来事、そしてその女性についてつづられていきます。
何より素敵なのが燃え殻さんの紡ぐ言葉の美しさ。
まず物語の冒頭、主人公が昔働いていた工場で同僚の七瀬に向かって言う言葉。
「『いま、孤独なんだ』を『いま、自由なんだ』って言い換えると、鎮静剤くらいには効くんすよ。」
そして物語の中間、七瀬が主人公に言う言葉。
「人生の本当に大切な選択の時、俺たちに自由はないんだよ。ケセラセラよ。」
この対比する二つの言葉、美しいと思いませんか・・・!(舞い上がりすぎ)
この二つの言葉がつながった時、思わず鳥肌が立ちました。
今ここで紹介するのはこれだけですが、この作品には心をぐっと掴まれるような言葉が本当に多いです。
個人的に好きな章は最後のほうにある「永遠も半ばを過ぎて」。
この章は私、何度も泣きそうになりました。女性が主人公にかける言葉が優しすぎる。
主人公に限らず、出てくる登場人物全員がどこかに傷を負っていて、その傷をさらけ出したり、時にはぐっと押さえつけたり、社会という闇に揉まれて精いっぱい生きている。そんな登場人物が紡ぎだす言葉が心に響かないわけがないんです。
作者様が普段どれだけ言葉というものを大切にして生活しているかがわかります。
本当に尊敬です・・・。
ただ個人的に少しだけですが読んでいて??となる箇所がありました。
この作品はかなり設定が大人な部分があるので中学生の方などが読むと「何言っているんだろ?」となることがあるかもしれません。
共感するような経験がまだ私のような未成年には少ないからでしょうか。
私も「どうしてこのような状況になってるの・・・?」と何回か悩みました。
ただその難しさをはるかに上回る繊細さと美しさ。
普段の私なら即挫折するような内容でしたが今回は一気読みでした!!
しかも読み返したいと思えるぐらい!久々に皆さんにお勧めしたいと思える本に出会ったような気がします。
とりあえず大人の方、特にこの主人公と同年代、30代40代の方にはぜひ読んでほしい。
さらに高校生、大学生などこれから大人になっていく人にも是非読んでほしい!!
人間の心の弱いところにそっと入り込んでくる素敵な作品です。
一人物寂しい夜に、またじっくり読みなおしてみようと思います。それでは。
作者様、第二弾も期待しております。(笑)